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01:F56用純正メーターユニットの入手

F56用純正メーターユニットの入手
F56用純正メーターユニットの入手

2013年後半、ウェブ上に公開されたF56用のメーターを見て「なんだ、センターメーター廃止か。ならもうMINIMAXとしてはF56用は作らなくていいんだな」というのが正直な気持ちでした。ホッとした感情が半分、残念な気持ちが半分。つまり「開発するのにどれだけの時間と労力を要するか」をこの数年で実感してきた身としては、開発という名の「闘い」を回避できたことへの安堵と同時に、開発を乗り越えた時の達成感を得ることはもうないんだなという寂しさを感じたのであります。最終的にその「闘い」に足を踏み入れた理由はいつものことながら「味気ないメーター(フォントやスケール)をなんとかしたい」という欲求、ただそれだけでした。内装の質感は全体的に向上しているようにも感じたし、それだけにメーターの質感不足がとても気になったのです。このままじゃイカンだろ、と。

 

善は急げと日本国内でF56が正式に発売された2014年4月、懇意のディーラーにメーターASSYの部品発注をしたものの「納期未定」との回答。これでは埒が明かないと、ドイツ本国より入手したのがこのメーターです。R50/R56系の際の経験から「ドイツ仕様=日本仕様」と踏んで、コイツの分解・検証を以って開発の着手となったのです。

 

グラフィックやカスタマイズのアイディアを練る以前に、そもそも「手を入れる余地」つまり「構造的にカスタム可能なのかどうか」を検証することが先決であり、あらゆる不安要素を完全に取り除いた上でなければその後の開発に掛かる事はできないということは言うまでもありません。


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02:分解と構造の把握

未知の世界に一歩踏み出す際には少しの緊張と興奮、ワクワク感が混在した不思議な感覚に包まれます。決して安くはない純正メーターユニットを不注意で壊すわけにはいかないし、元に戻せなくなるような入り組んだ構造なんじゃないかという不安にも苛まれます。

 

しかしポジティブに考えれば、純正メーターのような量産品の開発には「組み立て効率」や「作業性」が求められるものであり、よほどのことがない限り「元に戻せないほど複雑な構造」であるわけがないのです。まあ、そんな風に自分に言い聞かせて(笑)1つ目のビス、そしてまた次のビスと外していくのです。要は踏ん切りなんです。

F56MINIメーター分解と構造の把握
F56MINIメーター分解と構造の把握

かくして、それぞれのビス形状・嵌め合い部分をメモしつつ一気にバラした状態がこの画像です(この他ビスや指針パーツなどもあります)。元に戻せるのかななどという感情は全くの杞憂で、むしろ組み立て効率の面でよく練られている構造・構成だなあと感心してしまいました。

 

最終的に、いくつかの注意点さえ守ればユーザーレベルでも簡単に分解・再組み立てができることを確認(これが確認できなければ専用ゲージ開発は中止[終了]です)。

 

ここでの一連の作業結果が今後の運命を左右してしまうため、いつも緊張するし、とても恐いのです。人間(純正メーター開発者)の意図がそこに込められているとは言え、こんな無機物の集合体ごときに運命を左右されるなんて全く滑稽な話なのですが。


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03:開発へのGoサイン

F56MINIメーター開発画へのGoサイン
F56MINIメーター開発画へのGoサイン

MINIMAXではR50系〜R56系/60系の製品において一貫して「ユーザーレベルでの装着作業」が可能なよう取付け説明書を製作し、同梱しています。そもそも“ 計器に手を加える ”というシビアな作業を、ユーザー個人が安心して作業できないのであれば製品化はするべきではないと考えています。ですので「純正メーターの分解・ゲージ交換・再組み立て」までの作業のうち、1箇所でも特殊工具や特殊技術を必要とする工程があれば製品化を断念せざるを得ません。ゆえに、前項目までの「純正メーター検証」の作業にはかなりの時間を割きました。

 

また今回のF56用MINIMAXゲージは、これまでの純正メーター盤面への「貼り付け」ではなく「交換」という手法を用いることを決めており、それには指針の脱着作業を伴うためこれまで以上に純正メーターの検証を慎重に行いました。結果、「ユーザーレベルでのゲージ“ 交換 ”作業は可能」である点が確認できたことにより、晴れてF56用ゲージ開発へのGoサインが出されたのであります(間もなく発売のF56用ゲージには、これまで以上に詳細で分かりやすいセッティングマニュアルを同梱しますが、それでもなお「やはりどうしても不安だな」という方のために、宅急便利用によるゲージセッティングサービスを検討中です。これは、2本のビスとコネクタを外すだけで車体からメーターを取り外すことができるF系MINIならではのサービスです)。

 

これらの前提条件をクリアして初めて、デザインやグラフィック制作に取り組むことになります。次回からはいよいよ皆様お待ちかねの「意匠面」のお話となります。


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04:グラフィック草案

F56MINIメーターグラフィック草案
F56MINIメーターグラフィック草案

この純正スピードメーターの盤面画像から皆様はどのようなことをお感じでしょうか。普通の感覚では「ふーん、いわゆる普通のメーターだよね」という感じでしょう。MINIMAX的観点から言えば「おお、これまでのシルバー盤面じゃなくなったな」とか「相変わらずフォントはイマイチだし、スケール(目盛り)も大雑把だな」から始まって「警告灯を無理に詰め込みすぎ」とか「警告灯が光っていない時はこのエリアは超淋しいな」などという不満が次々に生まれてきます。

 

今回、MINIMAXではまず「この警告灯類をなんとかしよう」という切り口から意匠面のアイディアを練っていきました。旧MINIへのオマージュとしてR系で採用したスミス風フォントとスケールを盛り込むことは大前提で、その上でこの「雑多な警告灯フィールド」をどう料理していこうかとあれこれプランを考えていったのです。

 

法規上、警告灯類は必ずしも「アイコン表示」である規定・義務はありません。極端な話、液晶ディスプレイ上にもデカデカと警告が表示されるF用メーターにおいては「これら鬱陶しいアイコン、取っ払ってもいいな」ぐらいの気分にもなります。とは言ってもそんなドラスティックなことはできませんので、折衷案として「文字+インジケータ」の仕様でいこうと決めました。この手法は、実はR50系用MINIMAXゲージの初期モデルで採用し、当時みなさまから多くの評価を頂戴したものです。

50系初期モデル
50系初期モデル

▲R50系初期モデル

50系初期モデル
50系初期モデル

▲R50系初期モデル


F56MINIメーターラフスケッチ
F56MINIメーターラフスケッチ

この画像は、F56用ゲージの開発初期段階に起こしたラフスケッチを手直ししたものです。雑多な警告灯アイコンも、こうするとすっきりシンプルに・かつ整然と並んでくれますね。しかしここで満足しないのがMINIMAXです。この「文字+インジケータ」の手法と並行して、この警告灯部分の意匠に関するもう一つのプランも進めていきました(詳細は06項から触れていきます)。


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05:“ F56の内装に似合うゲージ ”の模索

F56MINIセンターメーター廃止
F56MINIセンターメーター廃止

F56の内装を眺めていて感じたことはいくつかあります。まずは、これまでも幾度か言及している「大型センターメーターの廃止」を挙げることができます。しかしこれはあくまであの部分から「メーター機能」を取り除いたというだけで、インパネ中央に円形の意匠は残され、そこにディスプレイやマルチメディアのコントロール機能などが納められました。旧MINIからのアイデンティテイはかろうじて継承されている格好です。

 

次に「全体的な質感の向上」が見て取れます。BMWに限らず、自動車産業全体が「軽量化・環境への適応・コストダウン」等の命題を背負っています。そのような厳しい条件のもと今回のF56の内装はそれらの弊害を感じさせず、むしろ「質感が上がった」という印象さえ受けるのです。各部の手触り・艶感・輝きなどがR系までとは違う味を醸し出しており、極論を言うと「アフターパーツメーカーが手を入れる余地が殆ど無い」のです。

 

しかし、内外装含めたこれら全体的な完成度を鑑みると、純正メーターだけがどうも「チープで質感不足」な印象を拭えません。燃料計の意匠は面白いし、オプションではなく標準でクロームリングをあしらっている点などから考えると実に勿体無い。「盤面、シルバーじゃなくグレーにしといたからそれでいいっしょ」ぐらいの投げやり感・やっつけ感が滲み出ています。こうなると、F56用MINIMAXゲージに求められるものは自ずと明らかです。そう「質感向上」がそれです。「メーターさえなんとかなれば100点満点なF56の内装、もうMINIMAXがなんとかするしかないでしょ」という責任や義務めいた感情です。これは、意匠変更と内装イメージの変化だけを追い求めてきたR系ゲージ開発とは少々毛色が違います。これまでの意匠変更や盤面色の変更、またイルミネーションカラー変更という要素意外で、質感を向上させる手法やマテリアルとは何か?この「質感向上」という点については数日間に渡り悩みました。

ローバー ミニ スミス メーター
ローバー ミニ スミス メーター

その渦中、ふと眼にした旧MINIのメーター画像。「これだ!」というプランが一気に溢れ出てきた瞬間です。


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06:旧MINI用メーターからのインスパイア

ローバー ミニ スミス メーター
ローバー ミニ スミス メーター

この旧MINIメーターをご覧頂くと、盤面内に5個のインジケーターがあるのが分かります(緑・青・橙が各1個と赤が2個)。旧MINIに乗ったことがおありの方にはお解かりかと思いますが、この「ゲージ内インジケーター」は紛れも無い旧MINIのアイデンティティの一つです。ウインカーを機能させると、矢印マークではなく単なる丸ランプが点滅していたアレです。

これを思い出した瞬間、開発秘話04項で述べた「警告灯問題」と05項の「質感向上」を共に解決するある秘策を思いついたのです。

 

論法はこうです。

  • ・ゲージ内インジケーターは確かに旧MINIのアイデンティティである
  • ・しかし盤面に電球を埋め込むわけにはいかない(カッコ悪い)
  • ・盤面に直接埋めるのがNGならば、埋めるためのマテリアルを盤面に被せればいい
  • ・盤面に被せるマテリアルとは何か?
  • ・そのマテリアルにどのような形で警告灯用レンズを配置するか
  • ・「!!」

 

つづきは次項。


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07:絶対に譲れない“ あるプラン ”の実現に向けて

旧MINIの特徴でもあった「ゲージ内インジケーター」を今回のF56用製品に採用するに当たって、次のような結論を出しました。

 

・盤面上に高品質なマテリアルを一層重ね、そこに警告灯用レンズを配置する

・そのレンズは「パイロットランプ方式」を採用する

 

このプランを実現すべく、MINIMAXは出口の無いトンネルへと向かいます。

汎用のパイロットランプはなかなか高価で、しかもLEDが組み込まれているためレンズ部分だけ分離することがほぼ不可能です。万が一、そのようなレンズ部分を分離できるものがあるとしても、警告灯が17箇所もあるF56では採算が合わない。例え採算面がクリアできたとしても、ではゲージ内に違和感無く配置できるような「小さいサイズ」のパイロットランプが入手できるのか・・・。しかもレンズ形状や金属のベースの意匠にも拘りたい・・・。レンズ色だってスモーク色にして「光った時にだけ色が出るようにしたい」等々。もうこうなると迷宮です。

F56MINI専用パイロットランプ
F56MINI専用パイロットランプ

そんな中、MINIMAXが誇るチームの中で、ひと際モノづくりの製法・資材選定に長けたプロフェッショナルが今プロジェクト最大のファインプレーを見事にやってのけます。彼のパワーは強烈で、「無いものは作ればいい。コストが掛かるならば製法や材質を工夫すればいい。それでもダメなら草の根作戦で全国の製造現場を当たって頭を下げればいい」という信念の持ち主です。そして彼が本気で頭で汗をかいて産み出したのがこれです。思い描いていたサイズ・質感・機能性の全てをカバーする見事な「オリジナル・パイロットランプ」が誕生した瞬間です。


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08:マテリアルと製法の選定

まずは上記画像をご覧ください。07の項で述べたMINIMAXオリジナルパイロットランプのベースとして写っているのは0.5tのステンレスパネルです。耐腐食性に優れ、重厚な輝きを放つステンレスはこの手の架飾部品には最適で、事実高級車の内装にも多用されています。話が前後しますが、パイロットランプのベースとなるこのパネルがステンレスであることから、当然パイロットランプ自体もステンレスである必要があります。「異種金属接触腐食」のリスクを回避するためです。MINIMAX製品は常々、過酷な車内環境での使用を想定して開発しており、装着から最低でも5年〜10年は変形・退色・腐食のないような部材選定をしています。ですので「ベースをステンレスに、パイロットランプを安価なアルミで」などという暴挙には決して出ません。数年後にパイロットランプ底部からサビが出現したら泣けますよね。可能性は低いとしても、それがゼロでない限りはやっぱりアルミではいけない。というわけで、ベースパネル・パイロットランプ共にSUS304の採用と相成ったわけであります。


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09:ビンテージ路線からネオ・クラシカル路線へのシフト

F56NEWMINI用内装パーツカスタマイズメーター
F56NEWMINI用内装パーツカスタマイズメーター

数少ない例外を除いて、これまでのR50系・R56/60系用のMINIMAXゲージの殆どは黒盤面もしくはアイボリー盤面を採用していました。そしてそこにオールドMINIの持つ古き良き時代の象徴「スミスメーター」のフォントとスケールをモチーフとしたグラフィックを盛り込んできました。英国・ローバーミニへの敬意をNEW MINIに反映させるべく展開してきたこれらMINIMAXの取り組みは、お蔭様で多くのMINIオーナーの方々から支持を頂き、今では世界2千数百台のMINIにMINIMAXゲージを導入頂いております。

 

今回のF56用ゲージ開発に当たって、これら要素を盛り込む他にMINIMAXではあるポリシーを掲げました。質感が向上し、最新のテクノロジーが盛り込まれた文字通り「現代のクルマ」であるF56系MINIに、単純にオールドMINIのテイストを盛り込むだけでなく、新旧の融合つまり「ネオ・クラシカル」の考えを採り入れようというのがその一つです。新しさの中に古き良き時代の趣が垣間見え、なおかつそれらが違和感なく協調し合う様(さま)にある種の「価値と魅力」があるのではないか、そう考えたのです。

 

運転時にいつも視界にあるメーターはやっぱりカッコイイほうがいいし、質感も高いに越したことはない。なおかつそこに「旧ミニへのオマージュ」といった何らかの信念が込められていたとしたらさらに楽しい。R50系〜R56系、そしてF56系へ乗り継いできた「ひとりのMINIファン」たるMINIMAX自身が、このネオ・クラシカルという考えを真正面に見据え、全身全霊を懸けて開発したのが今回のF56用MINIMAXゲージなのであります。

 

パイロットランプなどという過去のオブジェクトが最新のクルマに違和感なく溶け込む様子は、製作者自身が思わずニヤけてしまうほど痛快であります。


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10:追求は続く・・・

F56NEWMINI用内装パーツカスタマイズメーター
F56NEWMINI用内装パーツカスタマイズメーター

ステンレスパネルが自動車用のドレスアップパーツに採用される場合、“ヘアライン加工”は定番です。しかしそのヘアラインにも色々ある中で「横方向のヘアライン」の部品ばかりなのが現実です。○○のひとつ覚えとばかりに猫も杓子も横方向のヘアラインの嵐・・・。まあ加工コストは安いし、見栄えもいいから当然といえば当然です。

 

今回、MINIMAXが最初にお届けするラインナップ内のステンレスパネルには全て「スピン加工」のヘアラインを入れています。高級時計の盤面に採用されているアレです。このスピン加工の特徴は、その妖艶な光の反射にあります。車のメーターにこのスピン加工を施した盤面を採用した場合、夜間の街灯反射は秀逸で、ついつい訳もなく夜に出掛けてしまいたくなるほどの美しい輝きを放ってくれます。パイロットランプの光も相まって、その妖しげなムードは筆舌に尽くし難い魅力があるのです(誰よりも早くこの魅力を味わっているという現実は、制作者のみに与えられた役得以外の何ものでもありません)。

 

今後も、このスピン加工のような特殊加工の採用や新たなマテリアルの吟味に時間を費やしていくつもりです。いつまでも同じモノを造り続けるのは芸が無いしツマラナイ。F56という完成された車に奢るにふさわしいゲージとはなにか、これからもしばらく追求をしていこうと思っています。

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